音楽の慰問公演の現場

診療所の慰問公演の現場

診療所での音楽の慰問公演の効果は最近日本でも知られてきています。特に認知症予防や体力増加など医療現場での効果はめざましいものであると言われています。今回はその音楽公演を取り入れている千葉県東松戸にある梨香台診療所での実際の風景をご紹介いたします。

会員の石井さん発案のライブ

こちらの診療所ではリハビリに通う利用者さんのために定期的に音楽ミニライブを開催しています。
このミニライブを始めたのが日本ジャズ普及協会の会員でもある石井さんです。 演奏するジャンルはクラシック、ポップス、ジャズなど様々です。体力的になかなか外へ音楽を聴きにいけない患者さんたちにとって大変楽しみな時間となっているようです。今回は津軽三味線(紺谷英和さん)、ギター(堀江洋賀さん)、タップダンス(JUNさん)という珍しい組み合わせでのライブです。

発案者でもある石井さんに少しお話を伺いました。
「兄がこの診療所をやっていたので、何か音楽で役に立てないかなあと思ったのがきっかけです。今年でもう3,4年目になりますが毎回いろいろなミュージシャンを呼んで、利用者さんにも楽しみながらリハビリに励んでもらっています」

ライブで楽しい時間を

ライブが始まると、エネルギッシュな演奏に利用者さんたちも自然と体が動きます。曲目は「鉄腕アトム」や「上を向いて歩こう」など誰もが知ってる曲から紺谷さんオリジナルの曲など多種多様です。
「上を向いて歩こう」は利用者さんも一緒になって歌います。歌うことによってストレスの発散や声を出す練習にもなり、リハビリのプログラムとしても効果的であるように感じられます。
途中紺谷さんによる津軽三味線のプチ講習もあり、和やかな雰囲気でライブは進んでいきます。

またタップダンスのJUNさんと一緒に体を動かすというプログラムもありました。JUNさんの真似をして曲に合わせ足踏みをしたり手拍子をして体を動かします。イスに座ったままできるので、体が不自由な利用者さんでも笑顔で一緒に楽しんでおられました。
ライブは和やかなまま終了し最後は利用者さんたちの拍手で終わりました。

ミュージシャンの方へのインタビュー

■Q.こういった医療現場でのライブなどは多いのでしょうか?
《津軽三味線:紺谷さん》デイケアや老人ホームなどでのライブは多いですね。普通のライブとは気持ちの持ち方や演目もやはり違います。こういった場所ではどのような曲が喜ばれるだろう、など考えて演奏しています。今日みたいにその場の雰囲気に任せることもありますが(笑)

■Q.さきほどの足踏みを取り入れたプログラムは大変面白いですね。どういったきっかけで始めたんでしょうか?
《タップダンス:JUNさん》私の母も病気でリハビリ施設にいたんです。その時音楽による慰安公演というのを知って、良いプログラムだなあと思っていました。こういった施設からのライブの依頼をいただいたとき好きで続けてきたタップダンスが使えるんじゃないかと思ったんです。
なので今回のように足踏みを入れたり、歌を一緒に歌ったりすることが利用者さんにも良い影響を与えるんじゃないかなと思って始めました。

■Q.こういった医療現場で演奏するのはどうですか?
《ギター:堀江さん》僕はいつもはジャズをメインにライブハウスなどで演奏していますが、こういった場所で演奏するのはとても勉強になります。利用者さんから「普段出歩けないから音楽を生で聴けるのが嬉しい」と言ってもらったときもあり、やりがいがあります。選曲なども打ち合わせで楽しんでもらえるように考えて演奏しています。

音楽で貢献を

日本でもようやく広がってきた音楽による慰安公演ですが、思った以上に多くの方へ受け入れられ、また求められているいることが分かります。 石井さんは他にもいろいろなミュージシャンを集めてセッション会を開催したりなど精力的に活動されています。当協会も音楽を通して社会や地域に貢献して音楽の可能性を広めていきたいと考えております。

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